Story &ものがたり& die Geschichte
西洋書物史への扉 책의 역사 by 髙宮 利行 다카미야 도시유키 본문
" 西洋書物の歴史を確かな専門家にわかりやすく紐解いていただいた一冊。これまで書物史関係の文献は何冊か読んだが、これほど読みやすくしかもカラー図版の多い良書はないと思う。その昔、研究室で簡易な回転式書架を使っていましたが、回転式書見台というものが中世以来図書館の必需品だということに納得しました。また、次の一文にも感心しました。「ヨーロッパ文明の長い歴史を顧みると、古代から始まって中世のロマン主義、それに抵抗し古代に戻ろうとしたルネサンス(古典の復興)から十八世紀の理性の時代、そのアンチテーゼとして中世に戻ろうとしたロマンティック・リバイバルと、真逆の価値観が大きなうねりのように交互に現れてきたのである。」(115ページ) 古典主義とロマン主義の歴史を一言で要約している文章です。他にも読みどころが仰山あります。少し方向が違うかもしれないけれど、『ナインスゲート』を読み返したく(再度観たく)なりました....." " 書物史の専門家の蘊蓄がにじみ出ているが、楽しく読ませてもらった。ギリシア・ローマでの本は巻物であったが、古代に日本でもそうであったらしい。巻物は作るのも読むのも大変で、やがて冊子に代わるのだが、活版印刷の発明以前には、筆写によって写本をつくることが重要な事業だった。紙の進化もあって冊子体の書物が漸次、小型化し、手に持って読めるようになるまで、西洋での読書は書見台に置いて読むものであった。20世紀の後半からは電子化が進んできたが、冊子体は駆逐されていない。ただし、売れ行きが悪くなり、専門書はますます高価になりつつある。本書をよむと、これからも様々な形態で本は生き延びるだろうという感想を持った。本書には著名な職人や芸術家、パトロン貴族、学者などが多数登場するが、思想の醍醐味を伝える思想史ではない。しかしながら、本書は書物史として十分に興味深い作品である......."