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Story &ものがたり& die Geschichte

" 初めて読んだチョンセラン作品。まとまりの良い中篇でありつつ、冒頭なカジュアルな描写からは思いもよらないドラマティックな展開が味わえる3姉弟の物語。日本ではあまり似た作風の作家さんを思いつかない、、、、のは韓国の作家さんである以上当然なのかも知れませんが。何気ない描写にセンスが光り、1文1文読む喜びを与えてくれる文章は芥川賞作家さんに勝るとも劣らないと感じるし、ページをめくる手が止まらなくなるところはエンタメ系作家さん(直木賞とか??)としての並々ならぬ資質を感じさせます。タイトルに掲げられている超能力に関しては、「どうってことない」もの、と作者自らがあとがきにて記している通り、拍子抜けするほど些細なもので、あくまでもほぼリアリズムといって良い作法で「なんでもない偶然、平凡で小さな親切、たびたび出会う思いやり」の物語が展開します。リアリズムの作法(SFだったり、不思議なおハナシなどで..

"恋人、家族、友人、偶然出会った人。誰しもに起きる、人生のいっ時を共にした人との物語が描かれている。それぞれの物語を読みながら、過去に同じ時間を過ごし、いまはもう側にいない人を何人か思い出した。懐かしさや切なさや、後悔、恥ずかしさを伴いながら。また、家父長制により、大人により、自身の普通を押し付ける人々により、痛めつけられてきた女性や子供、マイノリティの人々も描かれている。感情的にではなく、ただ淡々として描かれることで、より一層ただ現実としてある、という実感をもたらしている。淡々とした描写には、読者の感情が介入できる余地が多いとも感じた。きっと読み手が歩んできた人生や経験によって、感情のゆれる箇所が全く異なるだろう。そして、これは私の物語でもある、と感じる一篇があるかもしれない。七篇はいずれも、人生の一部でしかない物語だけど、ただその大小さまざまな物語の連続こそが生であり人生であると訴..